2002 年 12 月 11 日 (急性心筋梗塞発症、ステント留置施術後半年経過) の診察結果について
 …(ご心配をおかけしています) 二泊三日の入院で心臓カテーテルによる検査を受けて来ました…

  5 月 26 日の早朝に急性心筋梗塞を発症、緊急入院して治療を受けてから早や 6 ヶ月が過ぎました。冠状動脈の狭窄部にステント (動脈拡張用のステンレス製の補強管のようなもの。網状になっており、血管内に留置するとバネにより広がり続けるような力が加わる) を入れると、体内に金属という異物が入っていることへの (拒否) 反応や、その際に管壁に少し傷が残ることに対する生き物としての (修復) 作用から、狭窄部位の血管内膜が再形成されて来るというのです。

 たいへんやっかいなことに、このような自身の治癒能力? のためにせっかくの血管の狭窄修復部が短期間のうちに再狭窄してしまうという「事件」がこの手術をした人の 2 〜 3 割あるいはそれ以上の率で起きるそうです。これはその人その人の体質、ステント治療との相性というか「運」のようなもので本人の努力とか心がけとは関係なく術後短期間の内に発生し、この手術をする医師にとっても現在のところ避けることのできない大変悩ましい課題となっているのだそうです。

 この半年間、毎日のように朝、昼、晩と何かモノに憑かれたようにウォーキングを続け、土日にもかなりの遠方にあるプールに歩いて出かけては泳ぎ続け、この傷ついた (愛すべき) 心臓と身体を運動させてきました。おかげで 10 キロ以上の減量にも成功し、以前よりも身体的には健康になってきたものですが、ずっとこの「再狭窄」への不安におののく毎日を過ごしていたのです。とても不安定な精神状態の半年間でした。 (朝には「えーい、ままよ、なるよにしかならん!」と思うのですが、夜にもなると一転「なんでオレだけが…」と落ち込む。そう簡単には割り切れないのですね! 凡人の煩悩というもんでしょうか?)


主治医による診察から (レントゲンの映像記録を見ながら説明いただきました) N 先生に感謝します…

自分の心臓がドックンドックンと動いている様を見るのは何とも気色悪いものですけど感動しました。しかしまあこんな
経験は誰もしないほうがいいのは当然で、タバコやお酒の飲み過ぎとか運動不足とか…あなたも気をつけなさいヨ!

 補強した血管部分 (ステント) 周辺は、やはりその後 50% 程度の再狭窄を起こしています。が、術後半年経過の状況としては特に問題なく、通常これ以上狭窄が進行することはないものです。ステント留置後に再狭窄が起きるのはしょうがないのですが、その「程度」が問題となります。血管の 75% も狭窄しているなら狭心症と言え、即手術をすべきですが、50% ならそのままで問題ないので再度手術はしませんでした。ステント施術部での再狭窄と、動脈硬化などによる狭窄は発生原因が異なることから、今後は新たな場所での狭心症、心筋梗塞発症への注意、予防へと視点が移ることになります。

 レントゲンで見るとわかるように
(と、画面を指しながら) ところどころに血管が狭くなっている部分がありますが、これが悪いところです。元々細い血管部分での狭窄は処置のしようもないのでそのままにしておくしかありませんが、今後これが進行しないように、脳梗塞も含めて発症しないように注意しなければいけないですよ。 (「55 歳くらいだとこんなもんでしょうか?」の私の質問に対し) もちろん同じ年齢でもきれいな血管の人もいますよ。そのような人では狭くなっている部分はまったく見つかりません。タバコのせいばかりだとは決めつけられませんが、このあなたのレントゲン映像は毎日 30 本程度のタバコを 35 年間吸い続けた人の典型的な心臓の血管だとは言えますね! (…だそうです。アッチャー♪)

 当然ですが、今後 『薬の服用』 『食事への配慮』 『適度な運動』 を一生継続する必要があります。タバコは絶対にダメ! お酒はほどほどにということですが、酒を飲みながら (特に塩分の多い) つまみを摂るのがよくないのです。 (カキのタネの中のピーナッツを選って食べるなんてのは最悪だそう! )

 一応心臓の冠動脈の今回の発症部位の治療は終わり、今後は (身体的に負担がかかり、ある程度危険も伴う) カテーテル検査ではなく、年に一度とか定期的に心臓負荷テストなどで心臓の検査をすることになります。うまくいけばこのカテーテル検査はもう一生やらなくてもいいことになります。 (主治医は「一生」ではなく、「死ぬまで」という表現を好んで使うんですけど…一患者としては若干抵抗アリ! )

 心臓のポンプの能力 EF (Ejection Fraction = 左室駆出率といって、主なポンプ機能を司る左心室が収縮した時と拡張した時の容積の比です) は、前回の術後 2 ヶ月目の検査で 57% であったが、今回は超音波検査で 62%、心臓 X 線で診たところでは 65% と良好であり、そうとう改善しています。 (一般的に EF は 60% 以上あれば正常、良好な心臓とされる) 壊死したと思っていた心筋の一部が実際には「仮死」状態だったようで、今はまだ完全ではないですが動いています。生物の不思議というか、血流が止まった時点で筋肉が「死んだふり」の状態となって、そのままにしておくと本当に死んでしまうのですが、手術で比較的短時間の内に再還流したこともあってこの半年間に少しずつ「生き返ってきた」ものと思われます。前回のエコー検査で「今まで動いていなかった心筋が動き始めて不足分を少し補完してくれている」のと併せて著しく改善したものでしょう。せっかく蘇った心臓なんですから大事にしてやりなさいよ!!

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 …とのことでした。一安心というか、ひと山超えたような感想です。今回の心臓カテーテル検査は検査自体が絶対安全と言えるようなものではないため、親族の立ち会いと検査を行うことへの同意が求められており、妻 (美代子さん) に熊本から来て貰いました。感謝感謝、らぶらぶというところでしょうか♪

(今日もこれから横浜市の港南台にあるプールに出かけます。以上「経過報告」ですが、どうぞあなたも健康にお気をつけください)
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